岡崎市ヘルプポータルに見る「探しやすいホームページ」の作り方

ノートとパソコンで情報を探す手元

ホームページの「探しやすさ」は、検索窓があるかどうかだけでは決まりません。

ユーザーは、最初から正しいページ名や制度名を知っているとは限らないからです。

たとえば行政サイトであれば、「転入届」「児童手当」「粗大ごみ」のように用語が分かっている人もいれば、「引っ越したとき何をすればいいのか」「子どもの手続きは何が必要か」のように、まだ言葉が固まっていない状態で訪れる人もいます。

要点: 探しやすいホームページとは、正しいキーワードを知っている人だけでなく、曖昧な困りごとを抱えた人も目的地へ近づけるホームページです。

岡崎市は2026年3月10日、行政手続きや生活情報を探しやすくするための「ヘルプポータルサイト」を公開しました。さらに3月30日には、生成AIを使った案内機能「おかざきAIナビ」も公開しています。

今回は、このヘルプポータルの考え方から、企業や店舗のホームページにも通じる「探しやすいWeb設計」のポイントを整理します。

検索窓があっても、探しやすいとは限らない

ホームページ改善の相談では、「検索窓を付ければ探しやすくなるのでは」と考えたくなる場面があります。

もちろん検索機能は大切です。

ただし、検索はユーザーがある程度「何を探せばいいか」を分かっているときに強い仕組みです。

一方で、実際の利用者は次のような状態でサイトを訪れます。

  • 手続き名を知らない
  • 行政用語や業界用語では検索できない
  • 自分の困りごとが、どのカテゴリに属するか分からない
  • 何から読めばよいか判断できない

この状態の人にとっては、検索窓だけがあっても、最初の一歩が難しいままです。

探しやすさを作るには、「何を入力すればよいか分からない人」にも道筋を用意する必要があります。

岡崎市ヘルプポータルが目指しているもの

岡崎市のヘルプポータルは、市政だよりで「疑問を気軽に調べられる、新しい市公式情報検索サイト」と紹介されています。

特徴として挙げられているのは、生成AIによる会話型サポート、関連する行政手続きの提案、アクセス解析に基づく情報改善の3点です。

この3つを見ると、単なる検索ページではなく、

  • 曖昧な質問を受け止める
  • 関連情報まで一緒に案内する
  • 利用状況を見ながら改善する

という考え方で作られていることが分かります。

特に重要なのは、ユーザーが最初から正しい言葉で検索できる前提に立っていないことです。

これは行政サイトに限らず、会社案内、サービス紹介、採用サイト、医療機関、介護施設、店舗サイトでも同じです。

探しやすいホームページに必要な3つの設計

1. ユーザーの言葉で入口を作る

社内では当たり前の言葉でも、ユーザーには通じないことがあります。

たとえば制作会社なら「保守」「CMS」「SEO」と書いていても、相談する側は「更新を頼みたい」「検索で見つけてもらいたい」と考えているかもしれません。

介護施設なら「短期入所生活介護」より先に、「数日だけ預けたい」という言葉で探されることもあります。

まずは、提供側の分類ではなく、利用者の言葉で入口を作ることが大切です。

2. 1ページで終わらせず、次の行動までつなぐ

探しやすいサイトは、情報を見つけたあとも迷わせません。

関連する手続き、よくある質問、必要書類、問い合わせ先、予約、地図など、次に必要になる情報までつながっている必要があります。

ユーザーにとっては、1ページ見つかっただけではまだ「解決」ではありません。

見つけたあと、何をすればよいかまで分かることが重要です。

3. 公開後に改善できる状態にしておく

岡崎市のヘルプポータルでは、アクセス解析に基づいて、よく見られる情報や分かりにくい箇所の改善を進める考え方が示されています。

これは企業サイトでも同じです。

  • どの検索語で来ているか
  • どのページで離脱しているか
  • 何度も問い合わせが来る内容は何か
  • サイト内検索で何が探されているか

こうしたデータを見ると、「載せたつもり」だった情報と、「実際に伝わっている」情報の差が見えてきます。

ホームページは、公開して終わりではなく、使われ方を見て整えていくものです。

AIチャットボットは、導線設計の代わりではない

岡崎市ではヘルプポータルに加えて、おかざきAIナビも公開されています。以前、おかざきAIナビから考えるWeb導線設計でも触れたように、AIチャットボットは「どこから聞けばよいか分からない」人の入口として有効です。

AIチャットボットは、自然な言葉で質問できる点でとても便利です。

ただし、チャットボットを置けば、サイト全体の分かりにくさが解決するわけではありません。

もとの情報が整理されていなければ、回答も不安定になります。問い合わせ後に必要なページが見つけにくければ、結局ユーザーは迷います。

AIは入口を柔らかくする道具です。

その効果を生かすには、FAQ、カテゴリ、関連リンク、問い合わせ導線、更新体制まで含めて整える必要があります。

企業サイトに置き換えると何を見直すべきか

自社サイトを見直すときは、次の点を確認するとよいです。

  • 専門用語ではなく、顧客が使う言葉で入口を作れているか
  • サービス一覧から先に、悩み別の導線も用意できているか
  • よくある質問が、問い合わせ前の不安を減らしているか
  • 関連ページ同士が自然につながっているか
  • 検索窓やチャットボットの前に、基本情報が整理されているか
  • 公開後に改善するためのアクセス解析を見ているか

「情報は載っているのに、問い合わせで同じことを何度も聞かれる」という場合、足りないのは情報量ではなく、探しやすさかもしれません。

まとめ

岡崎市ヘルプポータルの取り組みから学べるのは、Webサイトの価値は「情報があること」だけではなく、「必要な人がたどり着けること」で決まる、という点です。

検索窓を置く。FAQを増やす。AIチャットボットを導入する。

どれも有効な手段ですが、それぞれ単独では十分ではありません。

ユーザーの言葉で入口を作り、関連情報へ自然につなぎ、公開後も改善していく。

この積み重ねが、探しやすいホームページを作ります。

ホームページ制作では、見た目を整えることと同じくらい、「迷わずたどり着けるか」を設計することが大切です。