AI にデザインを頼める場面が、少しずつ増えてきました。
ただ、実際に使ってみると、「どちらの AI が上か」という比較だけでは、あまり役に立たないと感じます。チラシや LP を作るときと、アプリの機能を動画で説明するときでは、求めているものがかなり違うからです。
私自身の最近の感覚では、チラシや LP のように、1枚の完成物として仕上げる仕事は Codex の方が圧倒的にやりやすいです。一方で、グラフィックを交えながらアプリの機能を説明する動画のような仕事では、Claude Design がかなり良いと感じました。
もちろん、同じ課題を同じ条件で横並び比較したわけではありません。これはベンチマークではなく、実制作の中で見えた「使い分けの手触り」の話です。
Codex と Claude Design は、どちらが上かよりも、
何を作らせたいのかで向き不向きが変わる
と考えた方が、実務ではずっと分かりやすいです。
まず、両者は同じ種類の道具ではない
Codex は、コードを書くだけの AI ではありません。複数ファイルにまたがる実装、画像、文章、検証まで含めて、ひとつの成果物を完成に近づける使い方ができます。OpenAI も Codex を、ソフトウェア開発だけでなくドキュメントやスライド、ランディングページのような成果物づくりまで支援するエージェントとして説明しています。
一方の Claude Design は、会話しながらキャンバス上でデザインやプロトタイプを作っていくための機能です。Anthropic の公式説明でも、デザイン、プレゼンテーション、インタラクティブなプロトタイプを作る用途が前面に出ています。
つまり、両者は同じ「AIデザインツール」に見えても、最初から少し役割が違います。
| 見方 | Codex | Claude Design |
|---|---|---|
| 強く見える場面 | 1枚の完成物を詰める | 流れや状態を見せる |
| 相性が良い成果物 | LP、チラシ、Webページ、実装込みの画面 | プレゼン、プロトタイプ、機能説明、複数シーンの見せ方 |
| 進め方の印象 | 文章・構成・実装・画像をまとめて仕上げる | キャンバス上で見せ方を組み立てる |
LPやチラシでは、Codexの「仕上げる力」が強い
LP やチラシでは、最終的に見られるのは1枚の完成物です。
- どこに視線を集めるか
- 見出しと説明文の強弱をどうつけるか
- 画像と余白のバランスをどう整えるか
- ボタンや補足情報をどこまで目立たせるか
- 全体を見たときに、ブランドらしく見えるか
このあたりは、単に「それっぽい画面を出す」だけでは足りません。何度も見直しながら、文字、画像、レイアウト、実装を少しずつ詰めていく必要があります。
Codex は、この往復がかなりしやすいです。
たとえば LP なら、コピーを直す、余白を詰める、写真を差し替える、スマホ表示を確認する、HTML/CSS を修正する、といった作業がひと続きで進みます。ひとつの見た目を「公開できるところまで持っていく」感覚に近いです。
実際、レイヤーワークスの自社サイトでも、テーマ実装、下層ページ、SEO 出力、ブログ周辺の細かな調整まで、Codex と一緒にかなり詰めてきました。こうした 完成物の整合性を最後まで見ていく仕事 は、Codex と相性がよいと感じます。
Claude Designは、「見せる流れ」を作るときに面白い
一方で、Claude Design を使って印象に残ったのは、静止画1枚よりも、複数の状態をつないで説明する仕事でした。
たとえば、アプリの機能を紹介する動画を作るときです。
- 最初に何を見せるか
- どの順で機能を理解させるか
- グラフィックをどこで挟むか
- 画面説明と印象づけをどう両立するか
こういう仕事では、単に画面がきれいなだけでは不十分です。見る人の理解が、時間の流れに沿って進む必要があります。
Claude Design は、こうした「複数のシーンで意味を伝える」仕事で、かなり気持ちよく使えました。見た目だけでなく、構成や流れの作り方まで含めて、一緒に組み立てていく感覚があります。
もちろん、これは Claude Design があらゆる動画制作に向く、という意味ではありません。ですが少なくとも、静止した完成物を磨くというより、説明の流れを視覚化する場面では、強みが出やすいように感じます。
同じ「デザイン」でも、求めているものが違う
ここで大事なのは、「デザイン」という言葉の中に、かなり違う仕事が混ざっていることです。
たとえば、
- 1枚の LP を仕上げたい
- 会社案内のチラシを整えたい
- 画面遷移を見せるプロトタイプを作りたい
- アプリの機能を短い動画で説明したい
これらは全部デザインですが、必要な能力は同じではありません。
前半2つは、完成物の密度、余白、訴求の順番、文字の見え方が重要です。
後半2つは、状態変化、順番、視線誘導、理解の流れが重要です。
この違いを無視して「どちらがデザインに強いか」とだけ聞くと、答えがぼやけます。
使い分けるなら、まずこの2つを分ける
今のところ、私なら最初に次の2つで分けます。
1. 静止した完成物を仕上げたいのか
LP、チラシ、バナー、記事用画像、Webページのように、最後は1枚または1画面として評価されるもの。
この場合は、Codex の方がかなり使いやすいです。
2. 時間の流れや状態変化で理解させたいのか
機能説明、プロトタイプ、プレゼン、ストーリーボードのように、複数の場面をつないで理解させたいもの。
この場合は、Claude Design の良さが出やすいと感じます。
もちろん、今後の進化でこの境界は変わっていくはずです。AI ツールは更新が速く、昨日の得意不得意がそのまま来年まで続くとは限りません。
それでも現時点では、「何を作るか」ではなく「どう見せるものか」で選ぶと、かなり判断しやすくなります。
比較するときは、月額より先に「成果物の型」を見る
AI ツールを選ぶとき、つい料金や使用量の上限から比較したくなります。もちろんそこも大事です。
ただ、実務ではそれ以上に、
- 何を作りたいのか
- どこまで仕上げたいのか
- 途中で人間がどこを判断するのか
- 最後に必要なのは静止画なのか、流れなのか
を先に見た方が、選び方を間違えにくいです。
同じ「デザインに使える AI」でも、向いている仕事が違えば、体感の良し悪しは大きく変わります。
まとめ
Codex と Claude Design は、どちらか一方が万能というより、役割の違う道具として見る方が実感に近いです。
- Codex は、LP やチラシのような完成物を詰める仕事に強い
- Claude Design は、機能説明やプロトタイプのように、見せる流れを組む仕事で面白い
同じものを比べて優劣を決めるより、成果物の型に合わせて選ぶ。
今の AI ツール選びでは、その見方の方がずっと実務的だと思います。