WordPressサイトは、公開した直後が完成ではありません。むしろ公開してから、運用が始まります。
会社概要を載せているだけのサイトでも、更新しなければ中身は少しずつ古くなります。
見た目が変わっていないと、つい「問題なく動いている」と思ってしまいます。でも、WordPressの怖いところは、見た目が壊れる前に中で古くなっていくことです。
管理画面にログインできる。トップページも表示される。問い合わせフォームもたぶん動いている。その状態でも、WordPress本体、テーマ、プラグイン、PHP、メール送信、セキュリティ設定は古くなっているかもしれません。
放置しても、すぐには壊れない
WordPressサイトを放置しても、すぐに画面が真っ白になるとは限りません。むしろ、しばらくは普通に表示されます。
ここがやっかいです。見た目に問題がないので、社内でも話題になりません。
しかし、表側が表示されていても、裏側では更新通知が溜まっていることがあります。プラグインが古い。テーマが古い。PHPのバージョンが古い。フォームの通知先が昔の担当者のまま。Google AnalyticsやSearch Consoleの設定が古い。
こうした問題は、サイトを眺めるだけでは分かりません。
WordPress本体とプラグインは動き続けている
WordPressは、世界中で使われているCMSです。その分、継続的にアップデートされています。
新機能だけでなく、セキュリティ修正や互換性対応も含まれます。プラグインも同じです。
放置している間にも、周囲の環境は変わります。サーバーのPHPバージョンが上がる。ブラウザの仕様が変わる。外部サービスのAPI仕様が変わる。メールの認証ルールが厳しくなる。
WordPressサイトは、単体で止まっているように見えて、実際には多くの外部環境の上で動いています。
一番困るのは、必要なときに直せないこと
放置サイトで本当に困るのは、ある日突然壊れることだけではありません。必要なときに、すぐ直せないことです。
急いでお知らせを出したい。採用ページを更新したい。フォームの通知先を変えたい。キャンペーン用のページを追加したい。
このタイミングで管理画面に入ったら、更新通知が大量に溜まっている。PHPが古い。使っているプラグインの一部が廃止されている。テーマの作りが古く、ブロックエディターとの相性も悪い。
こうなると、目的の更新をする前に、保守作業から始めなければいけません。サイトは見えているのに、動かすのが怖い状態です。
フォームは特に見落とされやすい
会社サイトで重要なのが、問い合わせフォームです。
フォームは、見た目だけでは正常性を判断できません。入力画面が表示されていても、送信できるとは限りません。送信完了画面が出ても、メールが届いているとは限りません。
迷惑メールに入っているかもしれません。古い担当者に届いているかもしれません。自動返信だけ届いて、管理者通知が届いていないかもしれません。
サイトを放置していると、こうした重要な導線が静かに弱っていきます。
セキュリティは「何も起きていない」時期が大事
セキュリティ対応は、問題が起きてからでは遅いことがあります。
改ざんされてから戻す。マルウェアを除去する。検索結果に警告が出てから対応する。こうした作業は、通常の更新よりもずっと大変です。
もちろん、更新すれば絶対安全というわけではありません。しかし、古いWordPress本体やプラグインを放置することは、不要なリスクを増やします。
バックアップを取る。更新前後を確認する。不要なプラグインを消す。管理者アカウントを見直す。ログインURLやセキュリティ通知を確認する。地味ですが、こうした積み重ねが効きます。
放置を避けるために最低限やりたいこと
- WordPress本体、テーマ、プラグインの更新状況
- PHPバージョンと対応状況
- バックアップの取得状況
- バックアップから戻せるか
- 問い合わせフォームの送受信
- 主要ページの表示崩れ
- 管理者アカウントと通知先
- セキュリティプラグインやサーバー側通知
全部を毎日見る必要はありません。ただ、何か月も何年も見ない状態は避けたいです。
小さく触り続ける方が安全
WordPressは、まとめて一気に直すより、小さく触り続ける方が安全です。
更新通知を何年分も溜めてから対応すると、どこで問題が起きたのか分かりにくくなります。逆に、定期的に確認していれば、変化を追いやすくなります。
サイト保守は、派手な作業ではありません。でも、必要なときに安心してサイトを使うためには欠かせません。
WordPressサイトの放置が怖いのは、ある日突然壊れるからだけではありません。見た目が壊れる前に、内側の判断材料が失われていくからです。
「まだ表示されているから大丈夫」ではなく、「今も直せる状態か」を見ておくことが大切です。