WordPress公式プラグインで無料版とPro版をどう切り分けるか

無料版とPro版の分離をイメージしたノートPCと2つのフォルダのアイキャッチ画像

WordPress公式プラグインを作るとき、意外と悩むのが「無料版」と「Pro版」の分け方です。

単純に考えると、無料版に機能を入れておいて、ライセンスを買った人だけロック解除する形にしたくなります。けれど、WordPress.org の公式プラグインディレクトリでは、この考え方には注意が必要です。

Layerworks AI Chatbot の審査でも、無料版とPro版の境界は大きな確認ポイントになりました。

公式ディレクトリの無料版は、それだけで使える必要がある

まず大前提として、WordPress.org に置く無料版は、それだけで成立している必要があります。

公式ガイドラインでは、プラグイン内に含まれる機能を支払いによって制限したり、試用期間が終わると使えなくなったりする trialware は認められていません。

つまり、公式ディレクトリに置く無料版の中に「本当は入っているけれど、Proライセンスがないと使えない機能」を抱え込む設計は避けるべきです。

無料版として配布するなら、無料版の中にある機能は無料版として使える。ここを基準にした方が、審査でも利用者への説明でも分かりやすくなります。

Pro版は「ロック解除」より「追加アドオン」として考える

では、有料機能はどう扱うのがよいのでしょうか。

現実的には、Pro版を別のアドオンプラグインとして設計するのが分かりやすいです。

無料版は WordPress.org で配布する。Pro版は、公式ディレクトリ外で販売する追加アドオンとして用意する。Pro版のコードは公式ZIPに含めず、有料機能はアドオン側に持たせる。

この形なら、無料版は無料版として成立します。Pro版も、無料版に鍵をかけるのではなく、追加の価値を足すものとして説明できます。

利用者にとっても、どこまでが無料版で、どこからが有料版なのかが分かりやすくなります。

AIチャットボットで分けるなら、どこが境界になるか

AIチャットボットの場合、無料版とPro版の境界は慎重に考える必要があります。

たとえば、無料版で基本的なチャットボット設置や最低限の設定ができる。一方で、Pro版では業務向けの管理機能や分析機能を追加する。こういう分け方は自然です。

Layerworks AI Chatbot でも、公式無料版では、WordPressサイトにAIチャットボットを設置する入口として使えることを大事にしています。

将来的にPro版を用意するなら、たとえば次のような方向が考えられます。

  • チャットログの高度な管理
  • 問い合わせ候補の抽出
  • 複数ボットの運用
  • 回答改善のための分析
  • 業務ナレッジとの連携
  • 導入支援や保守サポートとの組み合わせ

ポイントは、無料版を不完全に見せないことです。

無料版は、無料版としてちゃんと使える。Pro版は、より業務利用しやすくするための追加機能や支援として用意する。この考え方の方が、利用者にも誠実です。

SaaS連携との違いも整理しておきたい

もう一つ、AI系プラグインで考えておきたいのが SaaS 連携です。

WordPress.org のガイドラインでは、外部サービスと連携するプラグイン自体は認められています。ただし、そのサービスが何をするのか、どんな情報を送るのか、利用者がどう設定するのかを明確にする必要があります。

AIチャットボットは、外部APIやAIサービスを使うことが多い領域です。

そのため、無料版とPro版の境界だけでなく、外部サービスとの関係もREADMEや設定画面で分かりやすく説明する必要があります。

ライセンスキーを確認するだけの外部サービスなのか。実際にAI応答やナレッジ処理を担うサービスなのか。この違いも重要です。

売り方より先に、信頼される分け方を考える

Pro版を作るときは、つい「どの機能を有料にするか」から考えたくなります。

でも、WordPress公式プラグインとして運用するなら、先に考えるべきなのは「利用者が誤解しない分け方」だと思います。

無料版でできること。Pro版で増えること。外部サービスに送る情報。更新やサポートの範囲。これらが分かりやすく整理されていると、導入する側も判断しやすくなります。

有料化は悪いことではありません。開発を続けるには、収益化も必要です。

ただし、公式ディレクトリに置く無料版は、利用者にとって安心して試せる入口であるべきです。Pro版は、その入口をふさぐ鍵ではなく、必要な人に追加価値を届けるアドオンとして設計した方が、長く続けやすいと感じています。

Layerworks AI Chatbot も、まずは公式無料版として使いやすく保守しながら、必要に応じて業務向けの追加機能や導入支援を考えていきます。