岡崎市のショートタイムワーク事業の活用

短時間ワークと業務整理をイメージしたノートPCとタスクカードのアイキャッチ画像

岡崎市が、ソフトバンク株式会社と連携して「ショートタイムワーク事業」を進めています。

岡崎市の公式ページでは、育児や家庭の事情などでフルタイム勤務が難しい人が、それぞれの得意分野を活かし、週8時間程度という短時間から在宅勤務等で働くことができる新しい働き方として紹介されています。2026年6月16日時点では、事業参加事業者の募集も行われています。

この話は、単に「短時間で働ける人を募集する制度」として見るだけではもったいないと思います。

地元の中小企業や店舗にとっては、自社の仕事をどう切り出すか、どこを人に任せられる状態にするか、そしてAIをどこで使えるようにするかを考えるきっかけになります。

短時間ワークで難しいのは「人を探すこと」だけではない

人手不足の会社では、「短い時間でも手伝ってくれる人がいたら助かる」と考えることがあります。

ただ、実際に受け入れようとすると、すぐに別の壁が出てきます。

  • 何をお願いすればよいか分からない
  • その作業の手順が担当者の頭の中にしかない
  • 途中で質問されたときに説明する時間がない
  • 短時間で完結する仕事に分けられていない
  • 在宅でできる仕事と、現場でしかできない仕事が混ざっている

岡崎市のページでも、短時間かつテレワークで働く人に依頼する業務の切り出しが難しいことや、受け入れ体制が整っていないことが課題として挙げられています。

つまり、ショートタイムワークの本質は「採用」だけではなく、「業務を分解する力」にあります。

AI活用も、実は同じところでつまずく

これはAI活用でも同じです。

AIを入れればすぐに業務が楽になる、という話ではありません。AIに任せられる仕事も、最初に人間側で整理する必要があります。

たとえば、問い合わせ対応をAIチャットボットに任せたいなら、次のような情報が必要です。

  • よく聞かれる質問
  • 回答してよい範囲
  • 回答してはいけない範囲
  • 料金や納期の考え方
  • 担当者に引き継ぐ条件
  • 古い情報と新しい情報の区別

これらが整理されていないと、AIも人も迷います。

短時間ワーカーに仕事をお願いするための業務整理と、AIに仕事を手伝わせるための業務整理は、かなり近い作業です。

まずは「週8時間で任せられる仕事」を探してみる

ショートタイムワークの考え方は、AI活用の入口としても使えます。

いきなり会社全体をDXする必要はありません。まずは、週8時間程度で切り出せる仕事を探してみるだけでも十分です。

たとえば、次のような仕事です。

  • 問い合わせ内容の整理
  • よくある質問の一覧化
  • 商品ページやサービスページの下書き整理
  • Googleビジネスプロフィールの投稿準備
  • ブログやSNSのネタ出し
  • 紙資料やPDFからの情報抜き出し
  • 顧客対応メモの分類
  • 見積前の確認事項リスト作成

これらは、すべてAIとも相性があります。

人に任せる前にAIで下書きを作る。AIが分類したものを人が確認する。人が整理したナレッジをAIチャットボットに使う。そういう組み合わせがしやすい領域です。

仕事を切り出すときの見方

仕事を切り出すときは、「時間がかかっている仕事」だけを見ると失敗しやすいです。

時間がかかっていても、判断が重い仕事や責任が大きい仕事は、いきなり外へ出しにくいからです。

まず見るべきなのは、次のような仕事です。

  • 手順が決まっている
  • 判断基準を説明できる
  • 完了条件が分かりやすい
  • 途中成果物を確認しやすい
  • 失敗しても大きな事故になりにくい
  • 繰り返し発生している

この条件に合う仕事は、短時間ワーカーにもAIにも渡しやすくなります。

逆に、担当者の経験や勘に強く依存している仕事は、まず言語化から始める必要があります。いきなり任せるのではなく、手順、判断材料、例外対応を少しずつ書き出すところからです。

WebサイトやAIチャットボットにもつながる

業務を切り出すと、Webサイトの改善にもつながります。

なぜなら、社内で説明しにくい仕事は、お客様にも伝わりにくいことが多いからです。

たとえば、問い合わせ対応で毎回同じ説明をしているなら、それはWebサイトに載せるべき情報かもしれません。見積前に必ず確認している条件があるなら、問い合わせフォームに項目として入れた方がよいかもしれません。よく聞かれる質問があるなら、FAQやAIチャットボットに反映できます。

ショートタイムワークのために仕事を整理することは、採用だけでなく、Web導線やAI活用の土台にもなります。

地元企業こそ、小さく始めるのが向いている

岡崎市や三河地域の中小企業・店舗では、最初から大きなシステムを導入するより、小さく仕事を整理する方が現実的です。

週8時間で任せられる仕事を見つける。手順をメモにする。よくある質問をまとめる。問い合わせの前処理を整理する。Googleビジネスプロフィールやブログの更新ネタを作る。

そのくらいの単位であれば、AIも人も使いやすくなります。

大切なのは、「人手不足だから誰かを探す」で止めないことです。

誰かに任せられる形に仕事を整える。その過程で、AIに任せられる部分、人が確認すべき部分、Webに出しておくべき情報が見えてきます。

ショートタイムワークは、働き方の制度であると同時に、地域企業が業務を見直すよいきっかけになると思います。