問い合わせフォームの情報はどこに残っているのか

書類を入れた半透明のファイルケース

ホームページの問い合わせフォームから送られた情報は、担当者のメールに届いて終わり。そう思っていないでしょうか。実際には、フォームサービスの管理画面、通知先のメール、連携した表計算、書き出したCSVなど、複数の場所に残っていることがあります。

2026年10月、Web制作プラットフォームStudioへの不正アクセスに関する発表がありました。サイト運営者が考えたいのは、サービス名だけで安全性を判断することではなく、自社が預かる情報の行き先と管理責任を説明できる状態にすることです。

まず「漏えいの可能性」と確認済みの事実を分ける

Studioの第一報では、不正アクセスによりデータが外部から取得できる状態になっていたと説明されています。実際に第三者が取得した事実は確認できていないものの、取得されたものとして対応を進めるという発表です。「全サイトの情報が流出した」と断定してはいけません。

10月22日には、デジタル庁も問い合わせフォーム入力情報などの漏えいの可能性を発表しました。自社への影響は、利用していた機能や保存されていたデータ、個別の案内に基づいて確認する必要があります。この記事は10月24日時点の情報です。対応対象や続報はStudioの専用案内で確認してください。

フォームの見た目だけでは保存先は分からない

同じ問い合わせページでも、サイト内のフォーム機能を使う場合と、外部フォームを埋め込む場合では情報の経路が違います。サイトを作ったサービスと、回答を保存するサービスが同じとは限りません。

問い合わせ情報がフォーム、通知メール、表計算、CSVへ分かれる流れ
問い合わせ情報がフォーム、通知メール、表計算、CSVへ分かれる流れ

たとえば「フォームから受け付け、通知メールを共有アドレスに送り、表計算に自動転記し、毎月CSVを保存する」という運用なら、回答のコピーは少なくとも複数箇所にできます。一つを削除しても、ほかのコピーまで自動で消えるとは限りません。

最初の棚卸しでは、システム名だけでなく、受信箱の所有者、閲覧できる人、自動転記の有無まで書き出します。制作会社に依頼している場合も、「フォームは動いていますか」ではなく「回答はどこに保存され、誰が読めますか」と確認すると具体的です。

削除したつもりの情報にも注意する

管理画面の一覧から消えたことと、完全に削除されたことは別です。ゴミ箱、過去のエクスポート、担当者のパソコン、メールの転送先にも情報が残っていないか確認しましょう。ただし、事故が疑われる最中に独断で一括削除すると調査の妨げになります。まず記録を保全し、関係者と対応順を決めてください。

普段の運用では、保存目的と保存期間を先に決めます。「いつか使うかもしれない」という理由だけで、住所や相談内容を含む全件データを残し続けないことが大切です。一方、契約や法令上の保存が必要な情報もあるため、何でも短期間で削除すればよいわけではありません。

サービス提供者とサイト運営者で役割を分ける

脆弱性の修正や基盤の調査は提供者の仕事でも、問い合わせた人への説明や社内の影響確認まで、すべて提供者任せにできるとは限りません。報告・本人通知の必要性については、個人情報保護委員会の案内と個別事情を確認し、必要に応じて専門家へ相談します。

確認できていない人数や被害を推測で公表しないことも重要です。「確認済み」「調査中」「次に案内する予定」を区別した連絡の方が、受け取る人も状況を理解できます。

フォーム運用の確認メモを一枚作る

  • 受け付ける情報の項目と、その項目が本当に必要な理由
  • 回答を保存するサービスと、メール・表計算などの転送先
  • 閲覧できる担当者、制作会社、退職者の権限
  • 保存期間、削除担当、ゴミ箱やCSVの扱い
  • 事故の案内を受け取る連絡先と、社内の判断責任者

棚卸しのために顧客情報そのものを新しい表へコピーする必要はありません。まずは保存先と管理方法だけを整理します。新たな個人情報の台帳を増やさず、情報の所在を把握することが目的です。

問い合わせフォームも、公開後の運用が必要

棚卸しが終わったら、架空の氏名とメールアドレスで一件だけテストし、想定した保存先へ届くかも確認します。担当者の記憶では「転送しているはず」でも、実際には別の受信箱が残っているかもしれません。テスト回答は区別できる名前にし、確認後は社内のルールに沿って片付けます。

フォームの変更や制作会社の切り替え時にも、このメモを更新します。保存先が変わったのに旧サービスの契約やデータだけが残る状態を避けるため、引き継ぎ時の確認項目に加えておきましょう。

岡崎市や三河地域の小さな会社でも、問い合わせには取引先の情報や採用相談などが含まれます。件数が少ないから管理が不要になるわけではありません。

フォームを設置する作業と、預かった情報を管理する仕事はセットです。今回の発表を、自社の回答がどこに残り、いつまで残り、誰が対応するのかを確認するきっかけにしましょう。