現場仕事でもテレワークをうまく活用できる

製造現場でタブレットを使う作業者と奥の事務スペース

製造、建設、介護、店舗運営など、現場に人がいることが前提の仕事は多くあります。そのため「うちの会社はテレワークできない」と判断されがちです。

しかし、一つの職種を丸ごとテレワーク化する必要はありません。現場でしかできない作業と、場所を問わず進められる事務作業を分けるだけでも、働き方と業務効率を見直せます。

愛知県も2026年のテレワークセミナーで、現場業務におけるテレワークとDXの可能性をテーマにしています。

職種ではなく作業単位で見る

「営業」「施工管理」「店舗スタッフ」といった職種名で判断すると、現場仕事に見えます。そこで、一日の仕事を具体的な作業へ分解します。

例えば施工管理であれば、現場確認はその場でしかできません。一方、写真整理、報告書作成、協力会社への連絡、日程調整、見積確認などは、情報へ安全にアクセスできれば別の場所でも進められます。

店舗でも、接客は現地で行いますが、SNS投稿案、シフト作成、発注集計、問い合わせ返信は切り分けられます。

4種類に分ける

作業を次の4種類に分けると整理しやすくなります。

種類例方針
現場必須接客、設備操作、現地確認現場で実施
遠隔可能報告書、見積、問い合わせ返信テレワーク候補
自動化候補転記、集計、定型通知ツールやAIを検討
判断が必要承認、例外対応、クレーム責任者を明確化

テレワークとAI活用を同時に考えると、どちらも曖昧になりやすいため、まず作業の場所と判断責任を整理します。

紙と口頭連絡が壁になる

遠隔でできそうな仕事でも、情報が現場の紙、ホワイトボード、個人のスマートフォンにしかなければ進められません。

最初に、高価なシステムを導入するのではなく、報告書の様式、ファイル名、保存場所、連絡先を揃えます。紙を撮影してチャットへ送るだけでは、あとから検索や集計ができないため、必要な項目をデータとして残す方法を考えます。

AIは事務作業の下書きから使う

現場写真から報告書の下書きを作る、音声メモを要点整理する、問い合わせを分類するなど、AIが使える場面はあります。

ただし、AIへ顧客情報や現場写真を渡してよいか、誤った内容を誰が確認するかを先に決めます。完成品を自動送信するより、人が確認する下書きとして始めるほうが安全です。

全員を同じ働き方にしない

テレワークできる作業が見つかっても、全員を同じ頻度で在宅勤務にする必要はありません。育児や介護、集中作業、移動時間の削減など、目的に合わせて対象を決めます。

現場側へ負担が偏らないよう、電話、承認、引き継ぎのルールも必要です。在宅の人しか分からない情報や、現場の人しか処理できない申請を作らないようにします。

小さく試す手順

  1. 一週間の作業を30分単位で書き出す
  2. 現場必須、遠隔可能、自動化候補、判断必要に分類する
  3. 遠隔可能な作業を一つ選ぶ
  4. 必要なデータと権限を確認する
  5. 二週間程度試す
  6. 作業時間、待ち時間、手戻りを比較する
  7. 現場と遠隔側の両方から改善点を集める

確認したい指標

  • 移動時間がどれだけ減ったか
  • 承認待ちが増えていないか
  • 入力の重複が減ったか
  • 現場の負担が増えていないか
  • 情報漏えいにつながる扱いがないか
  • 顧客対応の速度や品質が変わったか

「現場仕事だからできない」と職種全体で判断すると、改善できる事務作業まで残ります。まず仕事を小さく分け、場所に縛られない部分を一つ試すことが現実的な第一歩です。